電気自動車の利用拡大を急ぐ日産、月額3000円で急速充電器を使い放題に電気自動車

日産自動車が「日産リーフ」を対象にした充電サービスを10月1日から拡充した。従来は日産の販売店に設置した充電器だけに適用していた使い放題の会員プログラムを他社のサービスにも広げる。航続距離や充填時間で勝る燃料電池自動車に先手を打つ狙いが見える。

» 2014年10月08日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 日産自動車は2010年12月に電気自動車の「日産リーフ」を発売するのと合わせて、リーフのオーナーを対象に「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム」を開始した。日本全国の販売店に設置した充電器が使い放題になるサービスだが、スタートから4年近くが経過して大幅な改定に乗り出した。

 2014年10月1日から導入した新しい料金体系では、長距離を走行する利用者に向けて「スタンダードプラン」を新設する一方、従来のサービスは短距離の利用者を対象にした「ライトプラン」に位置づけた(図1)。最大の違いは会費を月額3000円(税抜き)にして、利用できる急速充電器の範囲を広げた点にある。

図1 「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム」の新料金体系。出典:日産自動車

 新たに利用対象に加えたのは、日産がトヨタ自動車・ホンダ・三菱自動車と共同で2014年5月に設立した「日本充電サービス(NCS)」に加盟する充電スポットである。NCSの急速充電器は2015年3月までに約2500基に拡大する予定で、高速道路を運営するNEXCOグループ3社やファミリーマートが設置計画を進めている。日産の販売店に設置済みの約1600基の急速充電器と合わせて4100基になる見通しだ。

 さらに日産は月額3000円のスタンダードプランの会費を2015年3月まではライトプランと同額の1429円(税抜き)に割り引くキャンペーンを実施する。こうしてサポートプログラムの会員拡大を懸命に進める背景には、トヨタ自動車が2015年3月までに発売する燃料電池自動車に対抗する狙いがある。

 燃料電池自動車は電気自動車よりも航続距離が長く、しかも燃料の水素を充填する時間はガソリン車と同様に3分程度で済む。急速充電器でも約30分かかる電気自動車と比べて利便性は高い。政府が支援して2015年内に全国100カ所に水素ステーションを展開する計画も進行中だ。トヨタに続いてホンダも2015年内に燃料電池自動車を発売する予定で、電気自動車で先行する日産は対抗策を迫られている。

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